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点字こうめい No.79

④<話題>
パラスポーツの競技力向上へ
NTCの新施設が稼働


 2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、トップスポーツ選手の練習施設「味の素ナショナルトレーニングセンター」(NTC、東京都北区)に、「屋内トレーニングセンター・イースト(東館)」(NTC・イースト)が新たに完成し、9月には開所式が行われました。

 NTC・イーストは、ユニバーサルデザインを採用し、バリアフリー環境を充実させているのが特徴で、パラスポーツ選手らの活動を後押しすると期待されています。五輪競技とパラリンピック競技の選手が共同で利用できます。

 同施設は、地上6階・地下1階建てで、延べ床面積が約3万平方メートル。フェンシング、アーチェリー、卓球、水泳、射撃の5つの専用練習場には、東京五輪で使用する競技備品を備えているほか、全ての競技団体が使える4面の共用コートは、パラ競技の団体が優先的に使用できます。

 これまでNTCでは、オリ・パラ共同利用のため、パラ選手の利便性を高めるようと、扉をスライド式に変更したり、点字ブロックを配置し直すなど、既存設備の改修で対応してきましたが、〝段差の解消〟が課題となっていたといいます。

 また、パラスポーツ界では、日常的に使える練習場所の確保が難しいのが現状です。競技の特性上、施設の床や壁を傷付けたり、練習に必要な設備が不足するなど、既存の公共施設では利用を断られることも少なくありません。

 一方で、NTC・イーストは、視覚障がい者や車いす利用者など、さまざまな障がいを持つパラ選手の利用を想定して、段差をほとんどなくしたバリアフリー設計となっています。

 例えば、階段の手すりに点字が刻印され、エレベーター付近に各階の平面図を設置しているほか、トイレの便座も、右向きと左向きの両方があります。

 さらに、選手らが合宿場所として使用できるように、トレーニング施設と同じ建物の中に、全82室、最大143人が泊まれる宿泊施設と食堂も併設しています。

 あるパラスポーツ選手からは、「パラ競技は、トレーニング場所と宿泊場所を一連の流れで確保するのが難しく、スケジュール管理も大変になります。それらの機能が一体となったNTC・イーストの存在はありがたい」という声も聞かれます。

 開所に先立ち8月からは、ゴールボールや車いすバスケットボールなどのパラ競技団体がテスト利用を始めており、今後、年間延べ数万人の利用を見込んでいます。

 また、多くの人に五輪・パラ競技への理解を深めてもらおうと、施設内には見学コース(有料)もあり、選手の練習を見学できるツアーを11月から開催します。

 NTC・イーストの担当者は「来年に控えた東京五輪・パラリンピックで、多くの選手が活躍できるよう、アスリートの要望を聞きながら、利用しやすい環境を提供し、応援していきたい」と語っていました。