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点字こうめい No.86

<話題>
世界10カ国以上で利用 音声案内アプリ「ナビレンス」/神戸のNPOが普及に取り組む


 スマートフォン(スマホ)を使って視覚障がい者の歩行を支援するさまざまなアプリの開発が進む中、近年、特に注目されているのが「ナビレンス」です。街頭や施設でのピンポイントの誘導が可能で、点字ブロックの情報量の少なさを補う同アプリは、「使いやすい」と利用者から好評の声が多く集まっています。神戸市内で「ナビレンス」の普及に取り組むNPO法人「アイ・コラボレーション神戸」を取材しました。

 ナビレンスは、スペインの企業と大学が2017年に開発した無料アプリです。現在、同国バルセロナなど欧米を中心に、10カ国以上の都市で鉄道駅やバス乗り場などの公共交通機関で導入されており、自動翻訳機能も、36言語に上ります。

 利用方法は、アプリをダウンロードすると、スマホのカメラ機能で2次元コードのタグを読み込み、音声や文字情報を提供します。カメラが読み取りやすいように、ピンク、青、黄、黒のカラフルな4色の正方形25個を組み合わせたタグで、12メートル先からでも認識できます。感度の良さが特徴で、タグを0・03秒で読み取れるため、タグの正確な位置が分からなくても、周辺一帯にスマホをかざせばカメラが感知して利用者は音声案内を受けられます。タグまでの距離も測定でき、「何メートル先」など目標物までを具体的に示すことができる上、GPS(全地球測位システム)が届かない地下や建物内でも使えます。

 国内ではアイ・コラボレーション神戸が、神戸市から200万円の助成を受けて、2021年末から市内三宮地区のJR、市営地下鉄、ポートライナーの駅などを中心にタグを設置。現在、設置されたタグは200個近くに上るといい、看板やコンビニなど一部店舗入口などにも貼られ、駅のホームでは転落防止も案内しています。北山ともこ理事は、「ピント合わせの必要もなく、読み取りも早い。ポイントごとに案内があるので、使い慣れれば、とても役立つ仕組みになっている」と語ります。

 神戸市の取り組みに続き、国内ではヴァンジ彫刻美術館(静岡県)や九州国立博物館(福岡県)などの文化施設でも、館内誘導や作品解説で運用しています。また、三重県伊勢市や東京都文京区など自治体でも実証実験を実施し、着実に広がりを見せています。

 北山理事は、「2025年には大阪万博がある。たくさんの人にナビレンスを知ってもらい、普及に向けた大きな起爆剤の一つになるよう、定着させていきたい」と話しています。