日本で点字が制定されてから、今年の11月1日で130年を迎えます。この間、医学の進歩により、先天的に全盲や弱視の人は減った半面、病気やケガで失明する中途視覚障がい者は増えています。
点字を読むには技術が必要で、幼い時から盲学校などで訓練を受けないと早く読めるようになるのは難しいです。こうしたことから、日本に16万~17万人いるとされる全盲の視覚障がい者のうち、点字を読める人はおよそ3万2000人にとどまっています。
私は日本点字図書館の館長に就任してより、文章のデジタル化に力を入れてきました。パソコンやインターネットなどの技術によって、視覚障がい者が自分自身で文章を書いたり、音声によって、メールや本を読めるようになりました。情報保障が飛躍的に進んだのです。
また、今まで一冊の本を点訳するのに1年、音声訳でも半年を要していたものが、1カ月足らずで音声訳などが可能になりました。私も週刊誌などのコラムが音声訳されるのを楽しみにしている1人です。
創刊40年を迎えた点字こうめいは、点字が読める党員、支持者にとって、とても素晴らしい取り組みです。今後は公明党の取り組みをさらに広く視覚障がい者に届けるためにも、音声訳版などにも取り組んではどうでしょうか。
多くの視覚障がい者に利用してもらうという点で音声は利便性が高いです。しかし、学問などの専門書や点字の楽譜など、代替できないものがあります。こうした方面では、点字の文化をしっかり継承していかなければなりません。
点字こうめい No.81
<特集>
音声版で幅広い読者確保を
社会福祉法人日本点字図書館理事長 田中徹二氏