●対談
日本盲人会連合会長/弁護士
竹下義樹氏
公明党障がい者福祉委員長
山本ひろし参院議員
5月から「令和」<れいわ>に元号が改められましたが、幕を閉じた「平成」は、障がいのある人たちにとって、どのような時代だったのでしょうか。雇用や移動、読書をはじめとする情報保障などをテーマに、日本盲人会連合(日盲連)会長で日本初の全盲の弁護士でもある竹下義樹氏と、公明党障がい者福祉委員長の山本ひろし参院議員(参院選予定候補=比例区)が語り合いました。
■ITの発達で職域が大きく変化/竹下
■第一線で活躍できる可能性開く/山本
例えば、従来、視覚障がい者の仕事といえば鍼灸<しんきゅう>マッサージなどが中心でした。しかし、IT(情報技術)の急速な発展で事務職への就職が非常に多くなりました。全盲のコンピュータープログラマーもたくさんいます。ただ、今も視覚障がい者が希望する職業にきちんと就<つ>けるケースはごく一部です。社会の中で「合理的配慮」がもっと広がることで、視覚障がい者が働きやすい環境が整うのではないでしょうか。
■バリアフリー法で動線が一つに/竹下
■移動環境の向上に今後も努める/山本
それ以前にも点字ブロックはありました。しかし、家を出てから目的地に着くまでが一連の流れです。例えば、バスを降りてから点字ブロックに沿って駅に入り、ホームにたどり着けるかどうかが大事で、2006年に「バリアフリー新法」ができたことによって、それまでバラバラだったものが一つになり、目的地への動線ができたことは大きな変化だったと受け止めています。
■視覚障がい者と共に歩んでくれた公明党/竹下
■〝小さな声〟受け共生社会の実現めざす/山本
私の後で司法試験に受かった視覚障がい者は、デジタル化した読書環境の中で勉強してきた世代です。ボランティアだけに頼らなくても、電子化されたもので読書環境をサポートしてくれる時代になったのです。すごい時代だと感じています。こうした環境をさらに社会全体に浸透させて、点字図書館やインターネット上で点字・録音図書を提供する「サピエ」にとどまらず、公共図書館や国会図書館などでも全部デジタル情報がつないでくれるような時代を、多くの視覚障がい者たちは待ち望んでいます。
障がいの有無にかかわらず、読書を通じて、文字活字文化の恩恵<おんけい>を享受<きょうじゅ>できる社会をめざすのが同法案の根底にあります。与野党を超えて全会一致で早期の成立に全力を挙げていきます。
平成の間に、数え切れないほどの障がい者支援に関する法律ができました。差別解消法が施行されて3年になりますが、正直、社会が変わったとの印象は持っていません。素晴らしい法律がたくさんできたわけだから、新たに幕を開けた「令和」は、その法律を使って豊かな社会を築いていく時代になってほしいと願っています。
私自身、日盲連の会長になって7年、副会長だった6年間も合わせて、ずっと公明党の皆さんと議論を重ねてきました。私たち視覚障がい者にずっと寄り添<そ>い、歩んでくれたのは公明党です。これからも当事者の目線を大事にし、日本の福祉をリードする存在であってほしいと思います。
【略歴】たけした・よしき 1951年、石川県生まれ。龍谷大法学部卒業。中学3年時に外傷性網膜剝離<もうまくはくり>による失明と診断される。81年、全盲の受験者として初めて司法試験に合格。日本盲人会連合会長。弁護士法人つくし総合法律事務所代表社員。