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点字こうめい No.75


<話題>
話題の〝触れて分かる囲碁〟
 11月に初の世界選手権を開催

 目が不自由でも、〝触<ふ>れて分かる囲碁〟が、今、話題を集めています。今年11月、国内外の視覚障がい者による初の「視覚障害者囲碁世界選手権」が開催される予定で、各地でも〝触れて分かる囲碁〟に注目が――。盛り上がる囲碁の〝現場〟を追いました。

 「そうくるか。いいところに打つなぁ」「黒の4目勝<よんもくが>ちですね」――。9月、日本点字図書館(東京・新宿区)で開かれた、視覚障がい者ら向けの囲碁教室での一コマです。

 取材に訪れた日、囲碁を通じて奉仕活動を展開しているNPO法人「日本福祉囲碁協会」(佐野利昭<さの・としあき>会長)が開いた囲碁教室には、囲碁を教えるボランティア棋士も含め、11人が参加。活発に対局していました。

 視覚障がい者の囲碁で使われる碁盤<ごばん>は、碁盤の線が立体的に盛り上がっており、線と線が交差する部分に、切れ目の入った碁石を、はめ込んで打ちます。黒の碁石<ごいし>には突起<とっき>があり、碁石の白黒を判別できるように工夫されています。

 通常の囲碁で使われる碁盤は、碁盤の線が縦19本、横19本の「19路盤<ろばん>」が、一般的に使われていますが、視覚障がい者の囲碁の碁盤は、「19路盤」に加えて、「13路盤」(縦13本、横13本)と「9路盤」(縦9本、横9本)の3種類が使われています。

 視覚障がい者の囲碁のルールは、通常の囲碁のルールと変わりません。

 同協会では、関東地方を中心に、身体障がい者や視覚障がい者らを対象にした囲碁教室などを開いています。この日の囲碁教室の指導者であり、11月に開かれる世界選手権の出場選手でもある柿島光晴<かきじま・みつはる>さんは、囲碁の魅力<みりょく>を「自分が成長できること」と語ります。

 柿島さんは、17歳の時に「網膜色素変性症<もうまくしきそへんせいしょう>」と診断され、20歳の時には、ほぼ全盲になりました。

 柿島さんが囲碁に出会ったのは、テレビの囲碁アニメでした。「おもしろそう」と思った柿島さんは、近所の碁会所<ごかいじょ>に通い、囲碁を打つように。すぐに、囲碁の魅力に引き込まれていったといいます。

 柿島さんは「囲碁には2つの魅力があります。一つ目は『自分が成長できること』。成長するためには、現実を受け止めなければいけません。それは、『障がい』を受け入れることと同じです。そして、二つ目は、『現実を見極める力を持つこと』。相手が打った手に対して、どうすればよいか、自分自身の〝考える力〟となります」と話します。

 視覚障がい者による初の囲碁国際大会「視覚障害者囲碁世界選手権」は、今年11月17~19日の3日間、「第32回国民文化祭・なら2017」の一環として、奈良市の春日野<かすがの>国際フォーラム甍<いらか>で開催されます。

 同選手権には、中国や台湾、フランスなど、国内外の招待選手16人が参加する予定です。プロアマは問わず、弱視の参加棋士は、アイマスクを着用します。通常の囲碁のルールと同じです。優勝決定戦では、観客スタンドを設置し、対局を観ることができるほか、インターネットでの生中継も実施されます。

 また、選手権の会場内で、囲碁をさらに知ることができるシンポジウムや、招待選手以外でも参加できる「クラス別囲碁大会」などを実施。奈良県内10カ所程度で「囲碁入門ワークショップ」などのイベントも開催されます。

 日本福祉囲碁協会の佐野会長は、「私は選手権の開催中に開かれるシンポジウムのパネリストとして参加する予定です。囲碁は、目が不自由な人に限らず、体が不自由な人など、さまざまな人に楽しまれています。こうした観点からも、囲碁の魅力を発信していきたい」と語っていました。

 同選手権や関連するイベントなどの詳細は、「なら IGO コングレス」のホームページ(http://www.igocongress.com/)から。