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点字こうめい No.74


<話題>
より高精度な音声ナビで道案内
スマホ用の経路案内アプリ開発へ

 2020年の東京五輪・パラリンピックを見据え、スマートフォン(スマホ)のアプリを活用して、より高精度な音声ナビゲーションで視覚障がい者らを道案内する試みが注目を集めています。清水<しみず>建設、日本IBM<あいびーえむ>、三井不動産<みついふどうさん>は今年2月、東京・日本橋の室町<むろまち>地区で、音声ナビゲーション・システムの実証実験を共同で行いました。バリアフリーの向上をめざす3社の先進的な取り組みを追いました。

 この音声ナビゲーション・システムは、スマホのアプリを使い、視覚障がい者や車いすの利用者らを、音声などで、身体の状況に合わせた誘導方法で目的地まで案内するというものです。建物や地下歩道の天井に5〜10メートルの間隔で設置されたビーコン(電磁波<でんじは>を発信して移動体<いどうたい>の位置を調べるための通信設備)からの電波などをもとに、スマホを持つ人の正確な位置を把握。これによって、「高精度な屋内位置測位<おくないいちそくい>を実現」(清水建設の担当者)するなど、これまで技術的に難しいと言われてきた高精度な音声ナビゲーションの誕生といえます。

 実証実験は2月8〜28日の3週間、商業施設「コレド室町」3棟の低層階<ていそうかい>と、東京メトロ銀座線・三越前駅の地下歩道を対象エリアとして実施されました。

 利用者は、あらかじめスマホ(iPhone6<あいふぉーんしっくす>以降の機種が対象)にダウンロードしておいた専用アプリを起動。「一般歩行者」「車いす利用者」「視覚障がい者」から選択して設定すると、地図と現在地が表示されます。音声入力、またはメニュー選択によって目的地の検索ができ、「レストラン」「ショップ」などのジャンル別、フロア別などで探すことができます。

 例えば、音声検索ボタンを押して、「ケーキを食べに行きたいんですけど」と話し掛けると、「◯◯にご案内しますか? コレドさんのおすすめです」「◯◯の魅力は愛され続けるチョコレートケーキです」といった会話が展開。店舗やメニューなどの情報も提供してくれます。

 そして目的地を設定すると、音声と地図によるナビゲーションが始まります。一般歩行者には最短経路、車いすの利用者には階段や段差のない経路を提示。さらに、視覚障がい者には、歩行速度に合わせて、「9メートル進み、正面のエレベーターを使って3階へ上がる」「扉の右に呼び出しボタン。点字あり」といった、移動に必要な、きめ細かな情報を音声で教えてくれます。

 音声による目的地の検索やナビゲーションは、日本語と英語に対応しています。

 実証実験ではアンケート調査も行われ、アプリの利用者約400人のうち、約8割が「普通」〜「とても良い」と評価。視覚障がい者からは「外に出る楽しみが増えるので1日でも早く使いたい」「他の広い場所(ショッピングセンター、イベント会場)で使ってみたい」などの感想が寄せられました。アンケート調査は今後、関係学会などを通して結果が発表されるといいます。

 国も昨年から障がい者向けのスマホ用移動経路案内アプリの開発に着手するなど、快適に移動できるまちづくりへの期待が高まっています。清水建設の担当者は「今回のナビゲーション・システムは、障がいのある人にも、外国人の旅行者らにも分かりやすい、有用なものだと考えています。広く普及させていくには設置コストを含めた課題も多く、実際に展開する際の社会的モデルの検討が必要です。今後も技術開発を継続していきたい」と話していました。