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点字こうめい No.73


<特集>インタビュー
徳田克己・筑波大学教授に聞く
適切な設置法の周知と国民理解が必要

――点字ブロックの現状は。

徳田克己教授
 点字ブロックは、視覚障がい者を誘導する上で最も有効な手段の一つと考えられています。

 しかし、実際に設置されている点字ブロックを細かく見ると、その形状が異なっていたり、設置方法に誤りがあるケースが数多く存在します。このため、点字ブロックを頼りに歩いていたら、階段から落ちてしまったり、車道に迷い出てしまったという声がよく聞かれます。

――何が問題なのですか。

徳田
 点字ブロックを設置する際の基本ルールは、国交省が定めるガイドラインで示されています。しかし、実際の施工<せこう>は設置主体である自治体や、施工業者に判断が委<ゆだ>ねられており、その結果、不適切な方法で設置されてしまうケースが見られます。

 例えば、車いす利用者が通行できるように幅を広くした改札やスロープ上に点字ブロックを設置してしまい、車いすの通行の妨<さまた>げとなっている事例があります。

 点字ブロックを設置する際は、特に高齢者や子ども、車いす利用者の通行の邪魔にならないよう配慮するとともに、正しい設置方法の周知が必要です。

――視覚障がい者の鉄道駅ホームからの転落事故が問題となっています。

徳田
 やはり転落事故を防ぐにはホームドアの設置しかありませんが、ホーム上にある点字ブロックはとても重要です。

 しかし、鉄道事業者によっても設置方法に違いがあります。ぜひ共通化してほしい。幅にゆとりのあるホームであれば、その真ん中に「誘導ブロック」を敷設した上で、ホームの両端に「警告ブロック」を設置してはどうでしょうか。

 また、どちらが線路側かを確認できる「内方線付き点状ブロック」も有効です。ただ、これも一部の駅、鉄道会社だけではなく、全てのホームに統一して設置する必要があります。

――今後、求められる対策は。

徳田
 私は公益財団法人「国際交通安全学会」のプロジェクト研究で、点字ブロックを設置する際、施工者が判断に迷う事例、間違いやすい事例などを解説したガイドブックをまとめています。

 実は、世界で普及している点字ブロックですが、海外においても日本と同様に設置の誤りが少なくありません。発祥<はっしょう>の地である日本こそ責任を持って、適切な方法を広めていく必要があります。

 一方、点字ブロックに対する市民の理解も重要です。いまだに街中<まちなか>では、点字ブロックの上に自転車が止められている光景が見られます。点字ブロックの目的や役割を伝えるには、幼児期から、障がいのある方への理解を深める教育に、より一層力を入れる必要があります。その取り組みが、障がい者への声掛<か>けにつながっていくことを期待しています。